人事担当者向けオススメ本

第111回 ウチの会社っていい会社?ダメな会社?

給与の一律アップは、デキる社員のモチベーションを下げる。360度評価は、上が委縮して組織が機能不全に陥る。相対評価だと、頑張っている社員を評価できないこともある。など、良かれと思って取り入れた人事評価制度が逆効果になっている例を取り上げ、正しい評価制度とは何かを教示してくれる一冊です。

著者は人事評価クラウドを提供する「あしたのチーム」の代表、高橋恭介氏。同社の宣伝本の要素は大きいですが、それを差し引いても学びや気付きの多い一冊で、一読の価値ありです。

人事評価で最もやりがちな失敗は、平等であって公平ではない評価です。たとえば、会社の業績が好調だからといって、結果を出している社員もそうでない社員も、平等に一律給与をアップさせてしまうと、結果を出している社員にとっては不公平な評価になってしまいます。評価とは異なりますが、残業代はその極みです。効率的に仕事を片づけ時間内に結果を出す社員より、ダラダラと遅くまで働き、結果も出てない社員の方が稼げる残業代はその典型です。

公平であれば減給された社員も納得します。公平な制度をどう構築するのか、そのための知恵が詰まった良書です。

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第112回 本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR

知名度で勝負できない会社が、採用競争に勝つためには、5W1Hでいう“Why”と“Where”を明確にし、ターゲットに訴えなければなりません。何のために会社が存在し、どこに向かっていて、将来どうありたいのか。規模や待遇で勝てないなら、この共感マッチングで勝負するしかありません。

組織力の強化も同じ理屈です。KPIやMBOといった目標管理手法を取り入れている企業は多いですが、それだけでは数値の奴隷となってしまいます。そこで今注目されている目標管理の手法が、当書が紹介しているOKRです。OKRとは、Objectives and Key Resultsのことで、目標とそれに対する成果指標を明確化し行動に落とし込む目標管理ツールです。

当書が参考になるのは、OにあたるObjectivesを「目標」ではなく「目的」と定義していることです。「この仕事にはどんな意義があるのか」「この数値目標を達成することでどんな社会が実現するのか」など、仕事の目的を伝えることで、エンゲージメントも業績も向上します。金銭報酬だけでは動かない今の世代に適切な手法です。しかし目的や意義ばかり強調して金銭報酬が少なければ「やりがい搾取」と言われてしまうので、そのバランスには注意が必要です。

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第113回 売上を、減らそう。

ロイヤルホスト、ワタミ、幸楽苑など、営業時間や日数を短縮しながら、業績を向上させている企業が増えています。姫路駅前にあるショッピングセンター「ピオレ姫路」も営業時間を1時間短縮し、増収を実現しました。

プライベートの時間が増えたことによって従業員が活き活きと働くようになった結果なのか、そもそも労働集約型ビジネスの常識だった“営業時間の拡大=売上の拡大”という公式が間違っていたのか分かりませんが、営業時間を短縮し、業績向上を果たしている企業が増えているのは紛れもない事実です。今まで減らすことができないと思っていた残業をゼロにしても、業績に影響が出ないかもしれません。

短期的には少し下がったとしても、それがきっかけで優秀な人材が採用しやすくなったり、離職者が減ったりするなど、長期でみれば会社にとってはプラスになるはずです。「どうしてもこの会社と取引したい」と思ってもらえたら、顧客が時間を合わせてくれます。

残業することで得ていた顧客満足を、限られた時間で最大化することがこれからの経営には必要です。それを達成するためのヒントが本書には散りばめられています。

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第114回 Wedge 10月号 再考 働き方改革

御社の働き方改革、早く帰ることだけが目的になっていませんか?それだけが目的になると、決まった仕事以外やろうとしなくなり、アイデアを必要以上に拡散したり揉んだりしなくなり、ゼロから生み出す仕事やクリエイティブが求められる仕事より、テンプレートがある仕事を優先し、将来のことより目先の利益を追いかけるPL脳が蔓延し、重要だが緊急ではない仕事はできなくなり、緊急の仕事をこなすだけで1日が終わっていく。

このような働き方改革の弊害を、これまで改革の見本企業と言われ注目されていた味の素やカルビーが、この状況を問題視し、再考しているそうです。採用活動でも、夜間・休日の面接や就活イベントの参加に制限がかかり、効率化ばかりを追求し、人間臭さや人の温もりが感じられない対応で、応募者が離れていき、会社説明会やインターンも昨年までのコンテンツを使い回し、陳腐化していることに気付きながら、新たなものを創造できていない、などといった問題が見られます。

手間暇をかけた非効率な対応こそが、人の心を動かします。何を効率化して、何は非効率であるべきか、きっちり精査する必要があります。何のための働き方改革か、ぜひ再考を。

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第115回 採用ブランディング「無名」×「中小企業」でもほしい人材を獲得できる

就活ナビの原稿は就活ナビ運営会社が作り、合説の装飾ツールは印刷会社が作り、ホームページはWeb制作会社が作り、パンフレットや動画は広告会社が作り、会社説明会のスライドは人事担当者が作り、SNSは新入社員が発信する。これではコンセプトもテイストも伝えたいメッセージもバラバラで、求職者の心をつかむことは難しいでしょう。ブランディングで一番大切なのは統一感(トーン&マナー)です。どの媒体を見ても、その瞬間に企業らしさが伝わらなければなりません。

そのためには、自社を最も理解していて、ブランディング構築センスのある1社に絞って、トータルコーディネートしてもらうのが理想的です。餅は餅屋で、媒体ごとに専門性の高い業者へ発注することも確かに大切ですが、その場合も必ずディレクターを一人決め、各業者に丸投げするのではなく、コンセプトやカラー、統一メッセージなどのコア部分は自社で決定し、具体的な指示を出し、納品まできちんとコントロールしてください。

本書を読めば、無名中小企業こそ、場当たり的な採用ではなく、ブランディングがいかに大切かが理解できます。