人事担当者向けオススメ本

第21回 采配


采配 落合博満

今回は、スポーツ人の落合元監督が書かれた本をご紹介します。ダイヤモンド社が編集されているため、ビジネス書風に仕上がっており、とくに人材育成に関しては、他の人事本よりも参考になることが多く大変勉強になる一冊でした。

基本的に落合元監督は、選手を信頼し任せきります。英智選手がフライを落球し、それが原因で試合に負けてしまったとき、落合元監督は「あいつが捕れなきゃ、誰も捕れないよ」 と責めませんでした。英智選手からすれば、エラーした責任は人一倍感じており、その中で更に監督から責められたら精神的なダメージも相当でしょう。
しかし、あのような言葉をかけられたら、「この監督のために頑張ろう」という気持ちになるはずです。そんな選手への繊細な心配り、信頼し、任せきることの大切さなど、人事業務としても活用できる内容に仕上がっています。

また、「職場に居心地のよさなど求めるな」「一流には自力でなれるが、超一流には協力者が必要」「数字との戦いに勝つには“達成するのは不可能ではないか”という目標を設定すること」など落合節が満載です。

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第22回 話せぬ若手と聞けない上司

若手は「上司はいつもブスッとした顔つきでパソコンと睨めっこし、“話かけるな“オーラ満載で空気がとても悪い」と言い、上司は「最近の若手は受身で、こっちが話しかけてやらないと全く会話が無い」と言います。こうした上司と部下のすれ違いは、多くの会社で起こっているのではないでしょうか。

お互い「相手が話かけてきたら、こちらも話す」というスタンスで両者とも他人任せで自主性がありません。「若手から話しかけるべきだ、いや上司から話しかけるべきだ」などの議論は不毛で、立場関係無くお互いが歩みよることが大切です。会話の無さに居心地の悪さを感じているほうが話しかければいいだけです。立場なんて関係ありません。強いて言えば、受け入れる側、つまり上司から話しかけて欲しいものです。学校の転校生でも、転校生から話しかけるのはとても勇気がいります。逆に、クラスメイトから話しかけてあげれば、馴染むスピードも桁違いに早かったはずです。

次の新入社員や中途採用者には、ぜひ受け入れる側から歩み寄ってあげてください。そうした気配りが早期離職を防ぎ、職場の活性化につながります。

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第23回 学歴の耐えられない軽さ やばくないかその大学、その会社、その常識

著者は「みのもんたの朝ズバッ!」でコメンテーターもしている海老沢氏。私立大のトップである早稲田大学政経学部の入学者のうち、一般入試者の割合はたった39.3%という事実をあげ、大学名だけで判断する企業の採用活動に疑問を呈しています。また、就職人気ランキングを上げるために、企業が大学サークルにビールの差し入れをしている裏事実や、「就職じゃなくて就社でいい。そしてその後に転職すればいい」という著者独自の理論をデータを駆使して記しています。

著者はいつもインパクトを与えるために、逆説的なことを極論で伝えるので、説得力はありますが、「そればかりではない」ということも多々あります。鵜呑みにせず、「こういう考え方もあるんだ」程度のスタンスで読まれるのがいいかと思います。

ただ、彼の著書を数冊読んでいくなかで、マスコミや世間の常識を鵜呑みにせず、実際に自分の目でデータを確認し、分析することや、常識を疑って自分の頭で考える能力は必要だなと思えます。そういう気付きを与えてくれるという点でも、読んで損は無い一冊です。

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第24回 一生食べられる働き方

著者は元Google米国本社副社長 兼 日本法人社長の村上氏。それ以前にも外資系企業を数社渡り歩いており、考え方が非常に合理的で新鮮でした。

そんな村上氏も元はマルクス主義を心酔する左翼学生だったそうです。それでも資本社会に身を置くうちに考え方を変えざるを得なかったのでしょう。印象に残った彼の主張を以下に記します。

「経済にはトレンドがある、だから社会的役割を終えた企業が消えて行くのは健全なこと。斜陽の企業が消えることで、優秀な人材が放出される。そして新しい成長分野に人材が流れる。これが理想の雇用の流動化。しかし日本は、役割を終えたゾンビ企業に公的資金を注入するなどして、無理やり生き残らせることでしか雇用を維持することができない。これが問題だ」
「転職じゃなくて転社しろ」
「食うために働く。それでいい。自己実現とか社会貢献とかあまり高邁なことを考えるな」
「グローバル化が進んでいるなかで、東大はブランドでも何でもない」

など、雲の上の人が言っているなというところもありますが、一読の価値はあると思います。

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第25回 就活戦線異状なし

織田裕二主演、槇原敬之の大ヒットソング「どんなときも」が主題歌の映画「就活戦線異状なし」の原作です。空前の売り手市場と言われたバブル期に、就職活動に奔走する若者の姿をリアルに描いています。

優秀な学生の青田買い、内定者フォローでのVIP接待、面接には全員交通費支給、研修名目の海外旅行など、バブル期の就活を知らない私たちにとっては、衝撃的な内容が多く、当時の就活を知る貴重な一冊です。

バブル期に就活を体験された方は、当時を思い出しながら懐かしい気持ちになれるのではないでしょうか。現在でも、どうしても逃したくない学生には有効な手法もあり、参考になると思います。

苦労知らずと言われるバブル期就活組みも、やりたいことが見つからずに悩んだり、有名企業に内定獲得した友人への嫉妬など、壁にぶつかりながらそれを乗り越え、就活を通じて大人の階段を登っています。

また、学生の大手志向は今もバブル期も変わらないようでした。今の学生だけが大手志向と批判されるのは少しかわいそうな気がします。今の学生がこの小説を読むと、どんな気持ちになるのか興味があります。