人事担当者向けオススメ本

第46回 奥様はCEO


奥さまはCEO 鎌田 和彦

今回は、ビジネスエンタテイメント小説のご紹介です。著者は作家ではなく企業経営者。しかもベンチャー企業を立ち上げ、上場まで果たしたやり手経営者です。だからこそ、とてもリアルな内容で、実体験を登場人物の名前を変えているだけではないかと思うくらいの内容です。

主人公は新卒でベンチャー企業に入社し、総務に配属された男性社員。情報が一番集まる総務の視点でベンチャー企業の内情を描いています。総務が主役のため、みなさんも「あるある!」と思えるシーンや「いるいる!」と思える登場人物が多いと思います。

私個人的には、ベンチャー企業の経営者の考え方や想いを知ることができて大変参考になりました。資金繰りで眠れない夜が続く日々、本音を表に出せない孤独感、ドライな考えと人としての情の葛藤など、経営者でないと書けない細かな心情や機微が描かれています。

また、主人公を通じて、劣悪な環境でも自分次第で成長もできるし、楽しみも見いだせるんだということも学べました。 矛盾、嫉妬、不安、焦り、絶望などと戦いながら、それでも前を向いて進んでいく新入社員や社長、そこで働く社員の方に勇気をもらえる一冊です。

読後は爽快な気持ちになり、モチベーションが上がりました。内定者には刺激が強すぎるかもしれませんが、2,3年目の若手の研修本としては良いスパイスになるかもしれません。

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第47回 ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか

貴社にビジョンはありますか。ビジョンが社員に浸透していますか。ビジョンがありそれが社員に浸透していると、マネジメントに力を入れなくても社員は迷いなく主体的に働き、組織が前進します。

またビジョンは、社員だけでなくこれから社員になる人たち、つまり採用活動においても 重要です。採用基準に能力だけでなく、自社のビジョンに共感できる人材という項目を入れることで、社員全員が同じ方向を向いて一丸となって事業を前に進めることができ、社内の雰囲気も良く離職率も下がります。

しかし、これだけ大切なビジョンですが、抽象的でわかりにくいのも事実です。当書は、そのビジョンを分かりやすく解説し、具体的にどう作成し、どのように社員に浸透させるのかを物語形式で示しています。

主人公と主人公が務める会社の社長が一緒に会社のビジョンを策定していきます。主人公は、ビジョンは他でも応用できると考え、部署ごとのビジョン、人生のビジョン、家族のビジョンも作りました。そして、そのビジョンに向かって歩みはじめ、迫り来るどんな荒波をも乗り越え、充実した人生を送っていくのでした。

会社のビジョン策定にも参考になりますし、与えられた命を大切にし、これから「どう生きるか」など、自分自身の人生のビジョンも考えるきっかけになりました。いろんな意味でお勧めの一冊です。

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第48回 「採用氷河期」若手人材をどう獲得するか

この本は景気が好調で各社採用に苦戦していた2007年に刊行されたものです。その直後にリーマン・ショックが起きたため、本のタイトルは時代に合わなくなり、「Amazon」では1円で販売されています。しかし、アベノミクス効果で若干景気が上向きつつある今、再度読み直してみました。

「なぜ採用をするのか」「人材は経営の最重要課題」といった根本的なことから、「採用戦略の立案」「母集団形成」「会社説明会」「リクルーター制度」「面接のテクニック」「内定者フォロー」 まで、採用のフェーズごとに効果的な活動方法を伝授しています。

「採用成功=企業力×採用力」という図式を用い、企業力はスグには向上できないが、採用力なら向上することができる。採用力が上がれば企業力があがり、より採用成功に近づく。このスパイラルに持っていくことが、企業成長には欠かせないと著者は言います。

消費増税という不安要素はありますが、これからまた「採用氷河期」がやってくるかもしれません。失業率が減ることは嬉しいことですが、企業様にとっては深刻な事態になり得ます。その前にこの本を読んで備えていても損はないと思います。読み物的な要素もありながら、参考書としても使える一冊なので、会社の机の中に入れておき、必要なタイミングで必要な箇所だけ読むという活用方法もお勧めです。

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第49回 なぜ、あの部門は「残業なし」で「好成績」なのか?6時に帰るチーム術

生産性を高め、残業をしなくても成果を出す仕組みが書かれている一冊です。著者は「株式会社ワーク・ライフバランス」という会社を経営する小室氏。社名の通り企業に対してワークライフバランスの実現を提案している会社です。

著者の基本的な主張は3つ。@仕事は個々の裁量に任せるのではなく、チームで組織的に進め、「自分にしかできない仕事」を徹底排除する。A部下に自ら働きかけ、褒めながら仕事は任せるタイプの上司を理想とする。B情報は社員全員で共有する。その3点を基本軸に、25個の具体的な手法を展開しています。

朝メール、夜メール、1週間記録シート、業務分析シート、課題とビジョンを共有する、課題発見シート、見直し面談、ムダとり会議、引継ぎマニュアル、マルチ担当制、カンタンIT、全部議事録など、今日から使える細かい内容が書かれていて、残業を減らす取り組みをしている企業様ならきっと参考になる一冊です。

しかし注意したいのが、残業をただ減らすことだけを目的にしてはいけないということです。真の目的は「短時間で成果を出す」ことです。残業を減らすことだけを目的にして、業績が下がってしまえば何の意味もありませんので。

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第50回 ホワイト企業

近年はブラック企業ばかりが話題ですが、その逆のホワイト企業とはどんな会社かを数社の事例を用いて説明しています。

当書では、とくにキャリア初期(若年層)において働きやすい会社であり、働きがいのある会社であることを「ホワイト企業」と 定義しています。

ただ単に働きやすいだけで働きがいがない企業を「人材滞留企業」とし、逆に働きやすくはないが働きがいがある企業を「人材輩出企業」とし、働きやすさも働きがいも両方無いのが、人材使い捨ての「ブラック企業」としています。

キャリア初期での成長経験が、健全な自己肯定観を生み、生涯のキャリアを良質なものにするそうです。働きやすさと働きがいの両方を兼ね備えている ホワイト企業の代表として、スターバックスコーヒージャパンやサイバーエージェント、ベネッセ、星野リゾートなどをあげ、なぜ若手がモチベーション高くイキイキと働いているのか、各社の人事制度や取り組みを事例にあげ、説明しています。

しかし、どれも特別なことではなく、「褒める」「認める」「適切な目標設定」「適度な競争」などスグにでも実践できることばかりです。せっかく採用力を強化しても、採用した人材が辞めてしまっては意味がありません。採用した人材の定着、戦力化について、とても参考になる一冊です。