人事コラム

第108回 採用目標が1名なら母集団は1名。これぞ究極の採用活動。

先月ある大学の学内合説に、自社の採用担当として参加し、95名の学生さんがブースに来てくれました。しかし一緒に働きたいと思えた学生は1人だけでした。その学生だけに集中して話したかったのですが、そんなことができるわけもなく全員と平等に目を合わせて説明しました。そして説明終了と同時にその学生は大勢の学生の波に流されてブースを去っていきました。この学生一人だけ来てくれていたなら、もっと双方向のやり取りをして、じっくりコミュニケーションを図れていたはずです。95名も学生が“来てしまった”ことが足かせになってしまいました。

多くの企業様は採用活動におけるKPIを設定されています。10名の採用目標なら、15名の内定、50名の面接、70名の会社説明会参加、200名の母集団(Webエントリーや合説来場者)が必要といった感じで、採用目標を達成するために各フェーズでの必要数を逆算します。このKPIの考え方でいくと、10名の採用目標数を達成するには土台となる200名の母集団が最重要指標だ、という結論になり、200名の母集団を集めることが目的にすり替わってしまいます。そしてターゲットでない人材も含めて母集団集めに躍起になり、その結果、採用しない人材ばかりが集まってしまい、採用目標数未達という画竜点睛を欠くケースが毎年起きています。

未達の場合は、KPIを基に振り返りを行います。上記のようなケースなら 「母集団の質に問題がある」と特定できそうですが、やっかいなことに近年、この母集団目標が達成できていないことが多いため、「やっぱり母集団が足りないのが原因だ。来年は母集団の目標は必達でいこう!」といった誤ったイシューを設定しがちです。採用しない人をいくら集めても意味がありません。むしろ、採用したい人との時間が十分に確保できなくなることもあります。

大切なのは母集団ではなく、ターゲットの人材を採用することです。1名の母集団で1名の採用。これが究極の採用活動です。手段と目的がごっちゃにならないように注意をしてください。