人事コラム

第116回 具体と抽象、どっちも大切。

インターンシップのコンテンツを創るうえで、一番やりやすいのは日々の仕事を分解して、ある特定の仕事を仮想体験してもらうことです。たとえば、電話対応、アポイント取り、営業ロールプレイング、プレゼン資料や決算書の作成、CAD設計、プログラミング、ポップ作成などです。

ただ体験させるのではなく、実際の仕事シーンを想定したリアルな場面設定をし、まずは学生に自ら考えさせてやってもらいます。その後にプロ目線でフィードバックをします。「なるほど!その視点はなかった」「プロはここまで考えてやっているんだ」と思わせることができれば、よりその仕事への興味が湧いてきます。そして、同じ状況設定でもう一度チャレンジしてもらい、成長を実感してもらえたら、高い満足度で帰っていくでしょう。

しかし、それで終わってしまっては、満足はしても、入社先として意識する可能性は低いといえます。この仕事は、会社全体の業務の中でどの役割を担っていて、全体にどう影響するのか、どんな社会的意義があり、延長線上にはどんな未来が待っているのかなど、仕事の意味、仕事を通じて実現したい社会まで伝えないと、「私もここで働きたい!」とまではならないでしょう。

Mr.Childrenの「彩り」という名曲に「僕のした単純作業が、この世界を回り回って、まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく」という歌詞がありますが、まさにこれを学生に伝えてあげなければいけません。インターンシップでも会社説明会でも、この具体的な業務内容と、それがどう社会に役立つのかという抽象度の高い内容の両方を伝える必要があります。具体論ばかりだと、分かりやすいですが、感情が揺さぶられることはありません。逆に抽象論ばかりだと、共感はできても、実際に働くイメージができません。

多くの話上手な人は、抽象→具体→抽象の順番で話しています。特に池上彰さんや中田敦彦さんの具体と抽象の使い分けは秀逸です。ぜひ参考にしてください。