人事コラム

第21回 面接美人はスグ辞める。採用するなら伊集院光タイプ。

「昨年の4月に入社した新入社員(2011卒)が、入社半年で辞めた」と、あるお客様が嘆いていました。その新入社員は、面接ではとても優秀で、他社からも数社内定を獲得していた方で、なんとか口説き落とし、他社を断ってまで入社をした方でした。ですから、その分ダメージも大きく、改めて採用の難しさを痛感されていました。

退職理由は、「キャリアアップできる職場に移りたい」とのことだそうです。私はそれを聞いたとき、「この方は転職を繰り返すだろうなぁ」と感じました。きっとこの方は、学生時代、たくさんの内定を獲得したことで、「ここで我慢しなくても他にたくさん入社できるところがある」と思い、嫌なことがあればスグに辞めて転職する思考になっている可能性があります。このような働き方は、若いうちは問題ありませんが、年齢と転職回数を重ねるうちに居場所を失ってしまいます。逆に新卒の就活で苦労した方は、「こんな私でも拾ってくれた」という意識が高く、愛社精神を持って頑張って働いてくれる方が多いように感じます。たとえば、タレントの伊集院光さんは今まで女性にモテたことが無いそうで、そんななか、「こんな僕でも好きになってくれた」今の奥さんに対する感謝の気持ちが大きく、浮気はもちろん、奥さんが悲しむことは絶対にしないそうです。

いくら能力が高くても、会社への貢献より自身のキャリアを優先する方を採用するのではなく、伊集院さんのように謙虚で会社に対して感謝の気持ちがある方を採用するほうが、入社後も頑張ってくれるのではないかと思います。

また、この新入社員の「キャリアアップできる職場に移りたい」というような方は、自分のキャリアアップにつながる仕事以外は真剣にしない可能性もあります。自分がしたくない仕事も手を抜かず一生懸命することで、会社から信頼を得て、大きな仕事を任されキャリアアップしていくものです。ですから、中途採用の面接で、「キャリアアップ」という台詞が出たときには、注意が必要です。

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第22回 スグに辞めるのは、若手だけの責任ではない。

「最近の若者は少し嫌なことがあったらすぐに辞めてしまう」という人事の方のお話をよく伺います。確かに最近の若者は、喰うに困るわけではなく、職が無くても生きていける方が多いため、少しの困難でも辞めてしまうこともあります。しかし、これらを嘆いても仕方ありません。彼らが悪いのではなく、生まれ育った環境の影響が大きい訳で、受け入れるしかありません。

私の経験上、離職率が高い企業様は、「仕事は見て盗め」「自分からもっと働きかけろ」「モチベーションは自分で上げろ」など、社員教育に力を入れるよりも、若者に主体的に動くように促し、勝手に成長していけ、というマネジメントをされているところが多いように感じます。しかし、今はそのような若者は多く存在せず、このギャップが早期離職の大きな要因になっています。

しかし、こんな時代でも若者中心の会社で成長している企業はあります。例えば、楽天、グリー、サイバーエージェント、カヤックなどは、現代の若者が大活躍している会社です。上手く若者のモチベーションをコントロールし、企業成長に繋げています。若者との接し方次第では、世界とも戦える人材に成長させることも可能なのです。それも難しいことでなく、誰でもできるちょっとしたことです。

例えば、転職者を採用した場合、

■初出勤後は、挨拶・自己紹介の場を必ず設ける
■笑顔で挨拶をし、積極的に話しかける
■入社日の浅い段階ではランチに誘う
■入社2週間以内に歓迎会を開く
■話しかけられたら、作業を止めて体を相手に向けて聞く
■PCやコピー機の前で困っていれば声をかける
■会議などで社内用語が出た場合は解説してあげる
■気軽に悩みや相談に乗ってあげれる雰囲気を用意する

など、とても簡単なことです。

いくら能力の高い方でも、周りの協力が無ければ、せっかくの実力も発揮できません。若者の責任にせず、受け入れる側からも歩み寄る努力が必要だと思います。

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第23回 ターゲットは狭く、そして深く。これが採用の近道です。

先月、経済同友会が新卒採用に関する提言を発表しました。
内容のひとつに、企業が求める人材像や採用基準を明確に示すよう求める項目がありました。エントリーシートの応募条件に専門知識や語学能力、大学での履修内容の記入などを課すほか、出身大学など過去の採用実績を開示すれば、新卒の応募が大企業に集中し就職活動が加熱するミスマッチを改善できるとしています。

昨年は、45万人が就職を希望しましたが、大手企業に就職できたのは7万人でした。人気企業に数万人の応募が殺到する一方、中小企業への応募は少なく、求人数は求職者を上回っているにも関わらず、毎年10万人近い就職浪人が出ています。この背景は、安定を求める学生の根強い大企業志向だけでなく、企業からの情報発信不足もあると同友会は指摘。学生が自ら適正を判断できる材料を詳しく示すべきとしています。

これらの提言には、私たちも大賛成です。求める人材要件を明確に打ち出すことで学生は、「これは私のための求人だ!」「私はこの会社に必要とされている」と嬉しくなって、今まで知らなかった企業へも応募意欲が増すでしょう。人は自分が必要とされれば嬉しくなるものです。恋愛でも、今まで全然意識をしていなかった異性に告白され、そこから妙に意識しだすことがありますが、それと同じです。

ですから、採用広報の打ち出し方も、「誰でも大歓迎!」というような漠然とした内容ではなく、「これができる方、こんなタイプの方ならうちで活躍できます。ぜひ来てください。それ以外の方はうちには合わないでしょう」。これくらいの打ち出し方が必要です。母集団を増やすために、広く受け入れられようとすればするほど、本当に必要な学生に見逃されてしまいます。ターゲットを明確化し、その心を動かす広報が必要です。

採用活動を始める前に、「誰に/ターゲット学生」「何を/ターゲットにとっての自社の魅力」「どう伝えるか/広報手段・打ち出し方」をじっくり考えるようにしてください。もしくは、私たちと一緒に考えていきましょう。

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第24回 人を見分ける力に自信がある人ほど間違った人事を行う。

4月になり、多くの会社で新入社員が入社され、フレッシュな風を吹き込んでくれているのではないでしょうか。新入社員を見ていると、私たちも初心に戻ることができ、気持ちが引き締まります。どんな社会人になるか今から楽しみですね。

さて、皆さんの会社では、新入社員の配属はもう決定していますでしょうか。内定出しの時点である程度決定している場合もあれば、新人研修での取り組みを見て、正式に決定される場合もあるでしょう。どちらにしても、この配属決定は今後の経営においてとても重要になります。ピーター・ドラッカーの有名な言葉に、「正しい人事のために4時間かけなければ、あとで400時間とられる」とあります。ですから、人事決定の際は、イメージだけで決定するのではなく、細かく何度もシュミレーションをし、その時最適だと思う人事決定をしなければなりません。

しかし、それは配置転換や新規事業の抜擢などには当てはまっても、未知なる新卒の配属には難しいかもしれません。面接や新人研修だけで、すべてがわかる訳ではありません。実際に働いてみないと分からないことがほとんどです。これもドラッカーの有名な言葉に、「人を見分ける力に自信がある人ほど間違った人事を行う。人を見分けるなんてことは、限りある身の人間に与えられた力ではない」とあります。

失敗の少ない採用・配属を行っている人事部は、この「人を見分ける力などない」という前提のうえですべて決定しています。自らの知識や眼力を過信することはあってはいけないのです。「俺は数秒しゃべっただけでそいつができる奴かどうかくらいわかる」と豪語する人ほど採用の失敗確率は高く、「私なんかに面接なんてできるのかな。心配だ」、「人事歴20年だけど、採用だけは本当に難しい」という人ほど、失敗しないようにしっかり準備したり、面接マニュアルに沿ってきっちり行うため、失敗の確率は低くなるそうです。

採用・配属においては、人事のプロの方でも過信せず、「自分には人を見分ける力は無い」という前提で行うことが大切です。

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第25回 企業が永続するための方法として、新卒採用は最も効果的。

ゴーイングコンサーンといって、企業は将来にわたって事業を継続していくことを前提としており、企業活動は言わば“終わりなき旅”です。一時的に業績が上がっても、それを永続しなければ意味がありません。 短期の業績を上げながら、中長期の視点も並行して持っていなければいけません。

ただ、何十年も目の前の仕事を区切り無くやっていくことは非常に辛いことです。学生時代は、学期の区切りごとに始業式や終業式、進級の際にはクラス替えなどがあったおかげで、気持ちの切り替えができていましたが、企業活動でもこの区切りは、長期に渡って働くためのモチベーション維持にとても大切です。

ある急成長中のベンチャー企業では、この区切りをとても大切にしており、四半期の始めには毎回、多額の費用と時間をかけて大々的なイベントを開催するようです。
大規模なホールを貸しきって、次年度の戦略・方針をスライドショーで社員にプレゼンテーションをしたり、成績優秀者の表彰式、一流シェフの料理が楽しめる立食パーティ、プロの芸人による漫才、社員による一発芸・仮装大会などを行います。直接売上や利益には繋がらないことに、これだけのことをするのには、それだけの効果があると理解しているからです。

これは一例ですが、そこまでしなくても、気持ちの切り替えに最も効果的なものがあります。
それは、新卒採用です。ダイネングループも今期13名の新卒が入社しましたが、新卒が入社することで、オフィスに新鮮な空気が流れ、既存社員の笑顔が増えます。また、昨日まで新人だった2年目社員も先輩らしい顔つきになります。このように4月1日を境に、既存社員は皆一様に活き活きします。

もし新卒採用をしなければ、 たとえ3月末が決算の会社でもその年の4月1日は、いつもと何ら変わらない日常の1日になり、特別な日にはなりにくいのではないでしょうか。
4月1日は気持ちの切り替えに最も適した1日です。この4月1日を更に特別な区切りの日にするためにも、可能な限り毎年新卒採用に取り組むことをお勧めいたします。