人事コラム

第81回 学生の大手志向には、ある意外な理由がありました。

今に始まったことではありませんが、学生の大手志向に歯止めがかかりません。各情報会社の調査でも、2017年卒生の大手志向は例年に比べてもとくに高かったそうです。大手志向の理由は「景気回復で大手企業が採用枠を増やしている」 「それに伴い採用基準も若干下がり、学生はチャンスだと思っている」「就活の短期化により、企業研究の時間が十分ではなく、知っている企業から順番に受けている」などが月並みな理由として挙げられます。

これらももちろん影響していますが、近年また新たな理由が生まれています。それは、奨学金の返済問題です。ご存知の方も多いと思いますが、現在2人に1人が奨学金を受給し学校へ通っています。卒業後にそれを返済しつつ、結婚や子どものこと、そして年金の受給が不透明な老後までのライフプランを設計すると、とてもじゃないけど安い給料の会社や将来が不安な中小企業には入れないと考える学生が増えているという事情もあるようです。

そんな状況を打破するために、奨学金の返済を肩代わりする地方自治体や企業が出ています。自治体にとっては、この制度がきっかけで住居を構えてくれたら税収が増え、企業にとっては、これがきっかけで優秀な人材確保に成功し、会社に利益を残してくれたら、奨学金の肩代わりは安いものです。

平均288万円の借金を背負い社会に出て、平均38歳まで借金返済に追われることを考えると、少しでも待遇の良いところに行きたいという気持ちも理解できます。その負担が少しでも軽減できる制度があるなら学生も地方の中小企業に目を向けると思います。優秀な学生を大手に奪われないためにも、こういった背景を理解し、打てる手は打っていかないといけないと感じています。本来は国がやるべきことですが、政治のせいにしていても現状は変わりません。

企業の一時的な負担は増えますが、それでも優秀な人材を確保することで、将来大きなリターンが得られます。私たちも、可能な限り行政から支援していただけるように自治体などへの働きかけを強化していきます。官民一体となって、また企業同士もタッグを組み、“オール播磨”で一丸となって、若者をこの街に呼び込めるような取り組みができればと思っています。

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第82回 2016年12月16日号の週刊ダイヤモンドを読んで。

国内最大手の広告会社電通の新入社員が自殺した問題で、長時間労働の是正がより声高に叫ばれ、政府も本腰を入れて働き方改革に取り組んでいます。この風潮に一石を投じたのがビジネス誌の週刊ダイヤモンドです。

昨年の12月16日号で、「労基署が狙う」というタイトルで、行き過ぎた労基署の対応がビジネスモデルを崩壊させ、年収を激減させてしまうという内容の特集を組みました。元々安全面の観点から、ブルーカラーなどの現場職への監視が厳しかった労基署が、電通事件をきっかけに今後はホワイトカラーへもメスが入ると警鐘を鳴らしています。

そこでターゲットとなったのが、野村證券の投資銀行部門です。深夜3時まで働くことが当たり前だった同社が、20時までに退社するようになりました。野村證券の投資部門といえば残業規制などお構いなしの海外の大手金融機関がライバルであり、野村の競争力低下は避けられないと社員は危機感を募らせています。

また、世界的に見ても日本の残業時間は群を抜いて多くはないというデータも示されています。少子高齢化により人口が減少していく日本において、世界企業が競争相手になることは必然で、この行き過ぎた是正が日本のグローバル競争力を低下させてしまう危惧があることを本誌では伝えています。

民間企業は営利団体であり、利益を出し、存続し続けることが前提の団体です。残業を減らすことが目的となり業績が悪化して、会社が倒産すれば本末転倒です。「残業を減らそう」「早く帰ろう」ではまったく問題解決になりません。かといって、この働き方改革が進めば、長時間労働を前提としたビジネスモデルは早晩崩壊してしまいます。業績を上げながら、残業を減らす。この両方を達成する働き方が求められるようになってきました。

長時間働くことが努力ではなく、短時間で業績を上げるために知恵を絞ることこそが努力だと捉え、改革をしていく必要があります。この流れを前向きに捉え、世界中の企業が見本とする、世界でもっともワークライフバランスの取れた働き方ができる日本になりたいですね。

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第83回 中小企業の採用活動は非効率こそ効果的。

今月1日、2018卒の就職活動が解禁しました。はりまっちで は、解禁日の3月1日を皮切りに、6日、7日、8日、10日、11日と既に6回の合説を開催しました。参加した学生のアンケートを見てみると、満足度が昨年を大きく上回っていました。

昨年は「声が聞こえなかった」「立ちっぱなしで疲れた」 「人が多くて回りづらかった」などといったマイナスの声が目立ちました。一方今年は「企業の説明を近くで聞けて良かった」「人事の方に顔と名前を覚えてもらった」 「人事の方に質問できて有意義だった」「志望企業が見つかった」などと、プラスの意見がほとんどでした。昨年は開催回数が少なかったため、1回の合説に参加学生が集中し、 上記のような不満の声が多くなりました。それを反省し、 今年は複数回開催することによって分散化を目論み、狙い通りの結果となりました。合説に参加した学生の満足度は、 企業への理解度や志望度の高まりと比例します。

企業様が合説に出展される目的として“母集団の確保”が挙げられると思います。よって合説の成果として“ブースに何名訪問した”かが大切な数値になります。しかし同じ母集団でも、ブースの後ろの方で何となく聞いている学生と最前列で聞いている学生とでは質が大きく違ってきます。“ブースに来た学生のうち、何名が個別の会社説明会に来たか”が本当の成果になると思います。もっといえば、内定者との最初の出会いはどこなのかです。合説で自社ブースに大量の学生が訪問した場合は充実感や達成感がありますが、実際の採用者はその合説からほとんどいなかったということもあります。

個別の会社説明会でも、企業側で会社説明会の日程を設定し、一気に学生を集め、この日に来れない学生は選考しないというやり方ではなく、できるだけ学生個々に日程を設定し、少人数でも開催をしてあげてください。このほうが大勢の中で説明を聞くよりも志望度は大きく上がります。中小企業の採用は、“1対多”ではなく“One to One”のコミュニケーションが、非効率でも効果的です。

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第84回 採用担当者は、学生との距離の近さと、ある程度の威厳。

「いやー。もうA社しか受けない予定ですね」
3月に開催した合説に参加していた学生が放った言葉です。この学生は、はりまっちの合説に毎回参加し、合計48社の説明を聞いたにもかかわらず、1社しか受けないと言うのです。

「え、何で?」と聞くと「いや、A社のSさん以上の人事担当者に出会えなかったんですよね。どうしてもSさんと一緒に働きたいんです。そう思える人が他の会社にはいませんでした」「そっかー。確かにSさんは素敵な人やね。でもSさんと一緒に働けるわけではないし」「それは重々承知しています。ただ、採用担当って会社の代表ですよね。採用担当者に魅力がない会社の社員さんって恐らく、魅力ないと思うんですよ」「そう感じるんやね。でも学生がそう感じていることを理解している会社は、採用担当者だけが魅力的で、後の社員は全然ダメで、採用担当者に騙されたってパターンもあるよ。採用担当者だけで判断せず、現場で働く社員にも会って確かめてからでもいいと思うけどな」「いや人事やったら、むしろ騙してほしいんですよね。学生も騙せない人事担当者に魅力は感じませんね」……

さすがに最後の話は極論ですが、採用担当者の魅力で“受ける”“受けない”を決める学生は他にも大勢おり、採用担当者から受けるイメージがそのまま企業イメージにつながっています。であれば、逆に企業規模や知名度、福利厚生、休日にハンデのある企業も、採用担当者の魅力が勝れば大手に勝てる可能性があるということです。

「Sさんはどんなところが魅力なん?」と聞くと「丁寧でとても熱心に向き合ってくれるんです。私を一人の就活生として応援してくれているんです」「それなら、B社のKさんもそうやん!」「いや、確かにそうなんですけど……。社会人として尊敬できる部分も欲しいんですよね。Kさんは、確かに目線も合わせてくれて、親しみやすいんですけど、サークルのノリというか」親しみやすさも大切ですが、やはり社会人として尊敬できる部分がないと、学生は魅力に感じないようですね。

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第85回 会社の魅力は、中途採用者に語ってもらう。

新卒採用の求人広告や採用パンフレットなどには、よく社員のインタビュー記事が掲載されています。そこでは、入社の決め手、仕事内容、ヤリガイ、失敗談、成功談などが魅力的に書かれています。そこに登場する社員のほとんどが新卒で入社した方です。新卒を採用するなら、新卒入社の社員を打ち出すほうが効果的という考えの企業様が多いことが分かります。

私たちも今まで新卒で入社してその会社で活躍している方を大勢取材してきましたが、ある質問については、ほとんどの場合、なかなか魅力的な話が引き出せず苦戦しています。その質問は「入社の決め手」です。この質問に対しては 「ここしか受からなかった」「最初に内定をもらえたので」 「まぁ家から近かったので」などその会社のどこに惚れて、 自分とどんな接点があったから入社したのかを上手く聞きだせません。

しかし、たまに中途採用者の方をインタビューしたときは高い確率で良いお話が聞けます。「入社の決め手」だけでなく、以前はどんな会社でどんな仕事をしていたのか転職を決意した理由など、背景まで詳しく教えてくださいます。また仕事内容や会社の魅力についての質問にも、前職との違いを踏まえて話してくれますので、差別化されたその会社だけの魅力を聞くことができます。

他の会社を知らない新卒入社の社員が語る会社の魅力と、他の会社を知っている中途入社の社員が語るそれとでは、情報量もその伝わり方も変わってきます。他の会社を知っているからこそ説得力があります。来年度の就職サイトやパンフレットに登場させる社員は、ぜひ中途入社の方も検討してみてください。

また合同就職説明会や個別の会社説明会などでも、「中途入社だから分かる、この会社の魅力」のようなタイトルでスピーチしてもらうのも面白いと思います。担当者からも「うちには●●でトップ営業マンだった者や、●●で▲▲を開発したエンジニアが、うちの■■に惹かれて転職を決めています」など、代表的な中途入社者の前職、入社理由を話してあげるのも、動機形成に効果的です。