人事コラム

第82回 学生の大手志向には、ある意外な理由がありました。

国内最大手の広告会社電通の新入社員が自殺した問題で、長時間労働の是正がより声高に叫ばれ、政府も本腰を入れて働き方改革に取り組んでいます。この風潮に一石を投じたのがビジネス誌の週刊ダイヤモンドです。

昨年の12月16日号で、「労基署が狙う」というタイトルで、行き過ぎた労基署の対応がビジネスモデルを崩壊させ、年収を激減させてしまうという内容の特集を組みました。元々安全面の観点から、ブルーカラーなどの現場職への監視が厳しかった労基署が、電通事件をきっかけに今後はホワイトカラーへもメスが入ると警鐘を鳴らしています。

そこでターゲットとなったのが、野村證券の投資銀行部門です。深夜3時まで働くことが当たり前だった同社が、20時までに退社するようになりました。野村證券の投資部門といえば残業規制などお構いなしの海外の大手金融機関がライバルであり、野村の競争力低下は避けられないと社員は危機感を募らせています。

また、世界的に見ても日本の残業時間は群を抜いて多くはないというデータも示されています。少子高齢化により人口が減少していく日本において、世界企業が競争相手になることは必然で、この行き過ぎた是正が日本のグローバル競争力を低下させてしまう危惧があることを本誌では伝えています。

民間企業は営利団体であり、利益を出し、存続し続けることが前提の団体です。残業を減らすことが目的となり業績が悪化して、会社が倒産すれば本末転倒です。「残業を減らそう」「早く帰ろう」ではまったく問題解決になりません。かといって、この働き方改革が進めば、長時間労働を前提としたビジネスモデルは早晩崩壊してしまいます。業績を上げながら、残業を減らす。この両方を達成する働き方が求められるようになってきました。

長時間働くことが努力ではなく、短時間で業績を上げるために知恵を絞ることこそが努力だと捉え、改革をしていく必要があります。この流れを前向きに捉え、世界中の企業が見本とする、世界でもっともワークライフバランスの取れた働き方ができる日本になりたいですね。