人事コラム

第91回 学生の声に正直に応えてはいけない。

今年初めて新卒採用にチャレンジした、ある会社の人事担当者さんから聞いた話です。

会社説明会で社長と総務部長が登壇し、会社のビジョン、ビジネスモデル、競争優位性などを交えて、自社の魅力を分かりやすく学生へ伝えました。そして説明会終了後のアンケートを見てみると「若手社員の話も聞きたかった」「もう少し具体的に日々の仕事内容を知りたかった」という意見が多かったそうです。

そこで次の説明会では、学生の声を取り入れ、若手社員を登壇させて、日々の具体的な仕事内容などを詳細に伝えてもらうことにしました。するとアンケートでは「もう少し競合との違いを知りたかった」「将来性や今後のビジョンを聞きたかった」という意見が多くあり、結果的に社長と総務部長で挑んだ説明会の方が選考に進む学生は多かったようです。

確かに学生は、どんな社員がいて、毎日どんな仕事をするのかを気にします。しかしそれを鵜呑みにして、そこだけを強調しては、強い入社意欲は沸かないという矛盾が待っています。人間は、与えられたものは当たり前に感じますが、与えられなかったものに対して不満を持つものです。一つの要求に応えたら、また次の要求が生まれるだけです。そんな学生の声に惑わされずに、本当に伝えるべきことは何なのか、 本質を見失わないようにしないといけません。

優秀な学生ほど、会社のビジョン、業界の将来展望、競争優位性、ビジネスモデルなどを知りたがっています。

よって、まず先に会社や業界のことを一番理解している社長やベテランの採用担当者からそれらを伝えて、理解させた後に、「こんな●●社を支えているのが、彼らです!」という風に若手社員を紹介し、若手社員から日々の仕事内容を伝えてあげると、学生はその企業の強みを知ったうえで、「この強みを作っているのは、社員の●●さんたちが、日々こんな仕事をしているからなんだ!」と理解も深まります。

また、親から「なんでその会社を受けてんの?」と聞かれた時にも説得力のある回答ができ、親への説得材料にもなります。