人事コラム

第94回 人の心は、非効率な対応が動かす。

1月22日、衆参両院の本会議で安倍総理は「働き方改革」の断行に意欲を見せました。採用活動も今まで以上に効率化を図り、能率を上げ、労働生産性を高めていかなければいけません。しかし効率化に走りすぎると、採用活動においては支障が出るのではないかと危惧しています。

特に「メールの一斉送信」「会社が指定する日の会社説明会や面接の実施」「書類選考」「6名以上の集団面接」などは効率化を図った会社都合のやり方であり、知名度で勝負できない中小企業様は避けたほうがいいと考えています。 まず「メールの一斉送信」ですが、“みんなに送っているメッセージ”より、“私だけに送られたメッセージ”のほうが心に響きます。

「会社が指定する日の会社説明会や面接」は、その日に行けない学生は諦めるしかなくなります。個別面接であれば学生の都合と合わせながら設定するのが基本で、集団面接の場合も複数日程を提示し、それでも参加ができなければ個別対応をとることで、採用の可能性が広がります。

「書類選考」は、就活が短期化された現スケジュールでは避けたほうがいいでしょう。短期間に書ける履歴書やESの数には限りがあり、学生は知名度の高い企業5〜6社に出すのがやっとで、中小企業様の中には書類が届かないといったケースが一昨年から続出しています。

「6名以上の集団面接」では、一人ひとりとじっくり話すこともできず、合格だったとしても「何で受かったかわからない」という理由で次の選考を辞退するケースもあります。落ちた学生からは「あの会社最悪やで。私の何も分からずに落としやがった」などと悪評が流れる可能性もあります。

ここまで読んでいただき、「これらを辞めてしまったら、業務が回らない」とお感じになられた方もいらっしゃると思いますが、大切なのは取捨選択で、全ての業務を効率化するのではなく、今抱えている業務の中から、捨てても大丈夫な業務を見極め、やるべきことを絞り込み、“対ヒト”に関する業務だけは、徹底的に非効率に行うのがベストな方法です。人の心は、非効率な対応が動かします。これこそがAIに勝てる採用担当者だと考えます。