新卒学生向けの会社説明会で、学生が離職率について社長に質問をしたところ、社長が激怒したそうです。これを目の当たりにした学生(質問した学生ではない別の学生)が戸惑って、Q&Aサイトで、「会社説明会での質問はどんな内容が相応しいのか」と投稿しました。そのQ&Aサイトで、彼の投稿に対する答えは、「その学生が悪い」、「離職率なんて聞いたらだめなの常識だろ」、「TPOをわきまえて質問しろ」、「そりゃ社長怒るわ」などと、社長擁護の書きみが大半でした。
しかし、私はこれに大変違和感を覚えました。一般的には、離職率や従業員の平均在籍期間、給与、休日、待遇、福利厚生、教育制度などは、会社説明会や面接で質問すると企業から嫌われるため、質問しないほうがいいと就活マナー本や就活セミナーなどでは言われています。しかし、これらの企業から嫌われる質問こそ、学生は一番知りたいのです。それらを聞かれて激怒するということは、隠したい何かがあるのでしょう。それらの質問を受けて激怒してしまっては、受けたいと思う学生はほとんどいないのではないでしょうか。
企業は、採用に失敗しないように面接で根掘り葉掘り学生に質問しますが、学生が本来一番聞きたい上記の質問を企業側が受け付けない空気感がミスマッチを起こしている原因だと思います。学生も就職先に失敗したくないのです。採用活動は、お互いに、良いところも悪いところも全部開示して行うべきです。悪いところがあっても、
「今は悪いが、今後、あなたと一緒にこういうプロセスで良くしていきたい」
「ここは悪いところだが、それ以上にここは良いところだ」
「こういうタイプの人にとっては、うちは悪い会社だと思います。しかし、こういうタイプの人ならうちは最高の職場だと思います」
このように伝えたらいいのです。
完璧な会社なんてありませんし、ある人にとっては良い会社でも、ある人にとっては悪い会社だってこともあります。学生にも、強み、弱みがあり、弱みをどう克服していくかを面接で伝えないといけません。企業も同様の対応をするべきです。お互いフェアな採用活動が行われることを願ってやみません。