第64回 カタチから入る企業が新卒採用を成功させている。

新卒採用において、企業イメージはとても重要です。それを理解している企業は、イメージを高めるために、様々な取り組みを行っています。見た目の良いリクルーターを揃え、若い社員が楽しそうに活き活きと働いている求人サイトの写真、目を引く合同就職説明会のブース設営、丁寧な受付が出迎え、エース社員が自社の魅力を語りかける会社説明会、終わった後「楽しかった」と思える面接、内定出しはトップが対面で行うなど、イメージアップに余念がありません。

現在、既に内定を獲得している2016卒生に順次インタビューを行っています。その中で、受けた学生全員が「良い会社」と言った企業がありました。決して大手ではない、地元の企業ですが、その企業から内定をもらった学生は全員誇らしげに思っており、入社をワクワクして待っています。

また落ちた学生も清々しい表情で選考の様子などを話してくれました。学生の話を聞き、その地元の人気企業は、意思を持って良い会社を演出しているなと感じました。「カタチから入るなんて」「表面だけ取り繕っても内面が伴っていなければ意味がないだろう」そう抵抗を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんな表面的なイメージづくりを絶対に軽視してはいけません。

意志を持って表面的なカタチを演出することは、学生の心の深いところをつかむことでもあります。とくに学生への知名度が低い会社は、それくらいやらないと良い学生は採用できません。良い学生とは、企業に選ばれるのではなく、自ら就職先を選べる学生のことです。

採用力は、企業力(知名度・安定性)×労働条件・処遇×採用活動です。これらのうち、企業力や労働条件・処遇はなかなかスグには高められませんが、採用活動ならスグにでも努力次第で高めることができます。採用活動力を強化し、良い人材を採用することで企業力がアップし、企業力がアップしたことで、より採用力がアップするというプラスのサイクルにのっかることができます。

このように、採用担当者の仕事は経営に直結するため楽ではありません。自らが学生にとって憧れられる存在であるかどうか?自身が就職活動をしていたときに「こんな人になりたい!」「あの人に追いつきたい!」と憧れた人。今の自分がその憧れだった人に負けない魅力を持っているかどうか?常に自問自答が必要です。そう考えると、採用に関わるというのは、日頃から高い目標があり、向上心の持てる素晴らしい仕事であるとも思えます。