第75回 「明るく、笑顔で、ハキハキ」から一歩踏み込んだ、人柄採用。

新卒であれば、能力より人柄などを重視して採用を決定する企業様が多いと思います。しかし、人柄採用といっても、明るくて、笑顔が素敵で、ハキハキ話せていたら「合格」というケースも多いと思います。実際このような学生は、複数の企業から内定を獲得します。

私も2015卒生で、このような人柄の良い学生と出会いました。「この子はいろんな会社から内定が出るだろうな」と感じました。案の定、複数の会社から内定をもらい、その中から、一番規模の大きな会社に入社を決めました。入社数ヶ月後に、この学生から連絡がありました。「もう会社辞めました」と。詳しく話を聞きましたが、辞めた理由は、一言でいえば「合っていなかった」ということになります。「合っていないじゃなくて、合わせろよ」という考えは一旦胸の中にしまい込み「合わない」とはどういうことなのか、真剣に考えました。

今回の場合、「合わない」とは、彼の性格と、会社の社風が合わなかったのです。彼は小学校の頃から野球をしており、激しいレギュラー争いや試合を通じ、常に勝負の世界に身を置き、勝ちにこだわってきました。たとえ下級生がレギュラーで上級生が補欠でも仕方がないと考える実力主義信者です。しかしその会社は、年功序列で実力や結果よりも、気遣いができるタイプや、個人よりもチームワークを大切にして仕事を進めることが評価される会社でした。
それらが理由で「合わない」と判断し、次の会社は「ノルマが厳しくても実力や成果を正当に評価してくれる会社」「チームよりも個人の力で勝負できる会社」に入りたいと言い、そのような会社に転職を決めていきました。「毎日大変だけど、前の会社よりは遥かに充実している」と連絡がありました。

人柄採用も「明るくて元気で笑顔でハキハキしてるので合格」から一歩踏み込んで、「自社の風土に合っているか」も選考基準に入れてください。自社は競争心が強い人材と協調性が高い人材ならどちらが向いているか。緻密さが必要な仕事か、それともスピードか。まずは行動するタイプと、一旦考えるタイプならどちらが活躍できるか。ロジカルに考えるタイプが向く仕事か、感情やその場のノリを大切にできるタイプが活躍するのかなど、自社にはどんなタイプの人材が合っているのかを整理し、選考に取り入れることで、ミスマッチも減らせるのではないでしょうか。