第100回 ビジョン無きHow toは通用しない。

採用活動では、どんな人が何人必要で、どの媒体を使うか、どのイベントに参加するかなどをいきなり考えがちです。しかしそもそも、「自社のあるべき姿は?」「自社はどこに向かっているのか?」といった、会社にビジョンが無いと、いくら綿密な採用計画を立てて、ベストな媒体を選んで、面接での動機付けや丁寧な内定者フォローを行っても、上手くいく可能性は低くなります。なぜなら、ビジョンを語らないと、現状の会社規模や給与、休日、待遇面で比べられてしまい、知名度が低く、福利厚生など条件的に不利な企業には勝機がないからです。

上手くごまかせて入社させても、社員の行動がバラバラになったり、日々の行動に迷いが生じたり、目の前の仕事に意義を見出せなくなったりし、少しの不満でも離職してしまう可能性が高くなります。採用も入社後の育成も、すべてビジョンから落とし込んで組み立てなければいけません。

「AbemaTV」や「アメーバブログ」を展開するIT企業のサイバーエージェントも、駆け出しの頃から「21世紀を代表する会社を創る」とビジョンを掲げ、それに共感する優秀な学生がメガバンクや総合商社を蹴って入社してきたそうです。「ユニクロ」や「ジーユー」を展開するファーストリテイリングも、売上高80億円ちょっとで知名度も低かった時代から「将来は米国のGAPを超えて、世界一のアパレルの製造小売業になる」というビジョンを掲げ、それに向けて共に戦ってくれる仲間を集めたそうです。

このように、両社とも知名度や福利厚生で勝負できない時代から、壮大なビジョンを恥ずかしげもなく本気で語り、優秀な人材を惹き付けてきました。ビジョンが共有できていれば、入社後も、日々の仕事に自分で意味を見つけることができ、指示を出さなくても、各々がビジョンに沿った適切な判断ができるようになります。

最後にソフトバンクの孫正義さんの言葉をご紹介します。「近くを見るから船酔いするんです。100キロ先を見てれば景色は絶対にぶれない。ビジョンがあれば、少々の嵐にもへこたれません。」