第107回 帝王の誤算

「社員が自殺をしても、企業成長を止めるわけにはいかない」。世界一の広告代理店を創った男の生涯が書かれたビジネス小説です。

「パワハラ」「ブラック企業」というワードがない時代に、身を粉にして猛烈に働いた方がいたことで、日本は世界No.2の国に成長したんだ、と改めて当時の企業戦士に畏敬の念を抱くことができました。

徹底した「顧客満足」や「高品質」を追及することで、顧客からは絶大な信頼を得ることができ、日本ブランドのプレゼンスは世界中で確固たるものとなりました。
その一方で、社員の負荷はどんどん大きくなり、過労や自殺で死に至る社員も続出しました。日本企業の成長、躍進の裏で、犠牲になった方も大勢いたんだ、と心が痛みました。

「企業や個人が成長するには、ある程度のハードワークが必要だ」「働き方改革で勤務時間が減ったら、顧客満足度は下がり、企業成長は止まってしまうのではないか」「社員の死を招いてまで企業は成長しなくてはいけないのか」など、これからの働き方について、様々なことを考えさせられました。働き方改革に取り組む前にぜひ読んでおきたい一冊です。