第166回 わたし、定時で帰ります。3:仁義なき賃上げ闘争編

ホワイトカラーにおける残業は、仕事を効率的にこなし定時で帰る人が損をして、ダラダラと非効率に働き、残業時間が多い人が残業代をたくさん稼げて得をするシステムです。

当書は、そんな残業代を稼ぐために非生産的に仕事をする社員と、定時帰りがモットーの主人公、東山結衣が対峙する物語。しかしこれは本人だけの問題ではなく、企業の問題だと気付き、東山VS.会社という構造に発展します。

東山は、様々な社内政治や古き悪しき慣習に翻弄されながらも残業削減と給与アップの同時達成を目指し奮闘します。

残業代を稼ぐために非効率に働く社員も、残業が好きなわけではありません。残業しなくても生活が苦にならないお給料があれば残業を減らすモチベーションに繋がります。

本気で残業を減らしたい場合は、残業時間が少ない社員ほど賞与で還元するなどのインセンティブが必要です。

残業時間の削減と給料アップは、採用にも有利になります。自社だけでなく、個人の働き方も考えさせられる良書です。