先輩が後輩のパソコンを指差して指導しているシーン、パンフレットに手を添えた商談シーン、みんなで肩を組んだりガッツポーズしたりの集合写真、斜め上を眺めながら電話をしているシーン。よく就活ナビや採用サイトで見かけます。
これらが日常の様子なら全く問題ありません。ただ普段は全くやっていないのに、広報のためにやっている場合は、逆効果になることがあるので注意が必要です。
今、採用活動を頑張っているミレニアル世代(1980~1995年生まれの世代)は、非日常の特別な体験に魅力を感じる傾向がある一方、Z世代は半径5mの日常やリアルを大切にします。このギャップが、「採用サイトを見ても応募はしない」という結果に繋がります。
またZ世代はSNS投稿を瞬時に「リアル」か「演出か」を判断します。作られた世界はスルーされてしまいます。運良く日常と違う世界を見せて採用ができても、入社後に現実を知り、早期退職に繋がる可能性も高まります。
そば職人の求人の事例をお伝えします。求人広告を2回出しても応募は0名でした。3回目に「一日中誰とも話さなくていい仕事」というキャッチコピーに変更すると50名の応募がありました。見せるべきは、リアルです。
学生の生の声もご紹介します。「飲みニケーションやサークル活動が盛んそうなので応募しません」。これは合説で、ある企業のブースから出てきた学生の声です。私はその企業にそんなイメージはありませんでした。
企業に確認してみると、「飲み会は年に2回程、サークルもほとんど活動していないけど、他に魅力が無かったから……」と。「飲み会はほとんどありません!」とリアルに伝えていたら、その学生は離脱しなかったかもしれません。リアルこそ正義です。