「若者雇用促進法」が施行されてから「3年未満離職率」を開示する企業が増えました。特に離職率が低い企業の開示は積極的で、説明会でも「うちは3年未満離職率0%です!」と堂々とPRしています。
しかしそんな会社も3年以降の離職率が異常に高い場合があります。
3年未満であれば、半径5mの職場環境、同期や年齢の近い先輩との関係性等が恵まれている場合、離職率は低い傾向にあります。しかし4年目以降は優秀な社員ほど、会社の将来性やビジョン、経営戦略、経営層の能力値、自身の成長の可能性などをシビアに見ています。
優秀な社員ほど視座が高く、非戦略的な経営や尊敬できない幹部陣に失望し、会社に長くいるリスクを敏感に感じ、優秀なゆえにスグ転職が決まるので簡単に会社を見限り去っていきます。
若手社員にとって憧れの優秀な先輩が退職することで「あの先輩が辞めるってことはうちの会社やばい?」と動揺が走ったり「〇〇さんがいないなら私も長くはいないかな」と影響されたりします。そうなると、新卒採用がうまくいっても、組織はかなり脆弱です。
3年未満だけでなく、3年以降も健全な離職率をキープするには、右往左往した経営戦略やお客様を無視した商品設計、好き嫌い人事、不透明な評価制度等は直ぐに変えないといけません。優秀な社員がワクワクする経営戦略やビジョンを示し、幹部が誰よりも仕事ができ、仕事を楽しみ、憧れられる存在になる必要があります。
すぐに他社へ転職できる優秀な社員に「この会社で長くいたい」と思ってもらえる会社は強いです。今後採用は益々難しくなっていきます。今いる優秀な社員に長く働いてもらうことが一番の人事戦略です。
3年未満離職率だけ低くても意味はありません。優秀な社員をワクワクさせましょう。