第26回 私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

一世を風靡した人材会社「ワイキューブ」の創業者であり元社長の安田氏が、ワイキューブの設立から倒産までを赤裸々に綴った一冊です。ベストセラー「千円札は拾うな」の著者でもある安田氏が書かれただけあって内容も面白く、また同業界ということもあり、大変読み応えがあり一気に読みました。

安田氏は「人」こそすべてという考え方であり、東京の一等地にオフィスを構え、新卒一人採用するのに1000万円近く投資したり、学生の人気ランキングをとにかく気にしたり、世界一人件費の高い会社を目指したり、社内にワインバーを設けたりしました。すべては優秀な人材を採用し、採用した人材の福利厚生をしっかり整え、モチベーション高く仕事をしてくれれば売上は自然に伸びるという安田氏の理論からです。

しかし、結局それだけでは売上は伸びず、借金も返済できず倒産しました。安田氏の理論は私も一部賛成ですが、やり過ぎた感は否めません。設備投資がそれほどかからない人材業界において40億円の負債額は考えにくい数字です。やはり、人材業界は地道にコツコツが大切なんだと改めて感じた一冊でした。