安倍新政権発足直後に、安倍総理は日銀に対して雇用責任を求める大胆な提案を持ちかけました。
しかし、麻生副総理は「雇用は政府も関係する話なので、日銀だけに(責任を)負わせるつもりはない」と指摘。その上で「今の段階では物理的にも時間的にも無理という感じがする」と語り、文書に盛り込むことには否定的な考えを示しました。この安倍総理の案に、個人的には大賛成でしたので残念でした。
アベノミクスと呼ばれる経済政策では、大胆な金融緩和が大きな柱の一つですが、円安が進み株価は上がっても、雇用や個人の収入には反映しないという専門家の意見もありました。やはりそこが回復されてこそ、本当の経済政策ですから、日銀にも雇用の責任を持ってもらうのは良い考えだと思いました。
また、私は予てから雇用対策は、厚生労働省の管轄ではなく、経済産業省など経済に関連した省庁がやるべきだと思っていました。
厚労省の政策は、少ないパイを分け合っているだけで、新たな雇用を生み出すことはありません。
たとえば、近年、ハローワークやジョブパークのような公的な就職支援機関で、キャリアカウンセラーを増やして、求職者の支援に力を入れています。就職支援の内容は、就活の進め方、面接対策、履歴書、職務経歴書の添削など、とても充実した内容です。
しかし、いくら手厚く求職者支援をしても、応募できる企業が限られていてはなんの意味もありません。今、本当に力を入れるべきことは経済を発展させ、求人を増やすことだと思います。
話は少し逸れますが、私たち民間の人材紹介会社も、求職者に対して、手厚いキャリアカウンセリングも必要ですが、それよりも、求職者の代わりに汗をかき足を棒にして求人を見つけ出すことのほうが大切だと考えています。本当の意味での求職者支援は「求人開拓」しない限り、絶対に実を結びません。求人開拓こそが最高の求職者支援です。そして、経済回復こそが最高の雇用対策です。
今回、日銀は雇用の責任までは負いませんが、新しく産業競争力会議を立ち上げ、メンバーに楽天の三木谷氏や竹中平蔵氏など経済に強い人材を起用するなど、安倍総理が本気で経済対策に取り組む姿勢が感じられます。期待したいですね。