第50回 採用競争力の弱さが経営難に直結する。

格安航空会社(LCC)のピーチとバニラで、機長不足による欠航が相次ぎました。バニラの石井社長は「(会社発足が昨年11月と)後発組で実績が少なく、採用競争力が弱かった。経営として重く受け止めている。機長の確保や養成をしっかりやっていく」と説明しました。また、居酒屋チェーン「和民」や牛丼チェーンの「すき家」でも、人材不足が理由で閉鎖する店舗が相次ぎました。

このように最近、採用競争力の弱さが原因で経営が悪化するケースが増えてきています。もっとひどいケースでは、「人手不足」が原因で倒産をしてしまった建設業者もあるそうです。

今年4月の有効求人倍率は、1.08倍と17ヶ月連続で上昇し2006年7月と同水準に達しました。リーマン・ショック直後は、人を減らすことに注力していた企業が、現在は人を増やすことに躍起になっています。特に労働集約型産業では、社員の数がそのまま業績拡大につながるため人材の奪い合いが行われています。

そこで各社給与アップや待遇改善などの施策を相次いで発表しています。「スターバックスコーヒージャパン」は800名、「ユニクロ」では1万6,000名の非正規社員を正社員にすると発表しました。今後人材獲得競争の激化を予想し、先手を打ったカタチです。人材獲得競争が激しくなると待遇が改善され給与水準も上がってきます。

物価先行型のインフレに賃金も追随することになり、デフレ脱却の兆しが見えてきます。これは、マクロな視点では嬉しいことですが、ミクロで見れば採用が難しくなり企業業績悪化に陥るリスクがあります。今後、採用強者と採用弱者とでは、経営に大きく差が開く可能性もあります。

このような状況下で、採用力を上げるために、採用予算を増やしたり、給与アップや待遇を改善、エース社員をリクルーターに抜擢、トップが直接口説くなどの採用活動を見直す企業も増えています。また、採用だけでなく既存社員の定着率アップに向けて、産休育休制度を強化したり、親睦会の回数を増やしたり、残業ゼロ、有給休暇の取得強化など、社員の働きやすさを見直す企業も増えてきています。

採用力と定着率をWアップさせ、この時期に労働力を確保しておくことは経営強化に大きくつながります。採用力=企業力。ぜひ今こそ企業力アップのために採用力アップの見直しをしてみてください。はりまっちにもお気軽にご相談ください。