「うちの就活ナビの平均エントリー数は、5,000です!」
「お、5,000件も応募があるの!?じゃぁ、やろう!」
「(サイト掲載後)おい!エントリーが10件しかないぞ!平均エントリーは5,000だろ?どうなってんだ?」
「はい、A社のエントリー数は10,000で、B社のエントリー数は0で、平均5,000です……」
こんなデータ、何の意味もありません。 5名以下の採用なら、エントリー数のデータも母集団も必要ありません。
これはさすがにフィクションですが、このような「大量に母集団を集めて絞っていく」大手人気企業だけが許されるエントリー数データにこだわった採用手法を、中小企業もやってしまい惨敗するケースをよく見ています。
中小には中小の戦い方があります。大手と同じ土俵で戦っては大手が勝つに決まっています。エントリー数など母集団にこだわっていたら、全て大手人気企業にもっていかれます。
中小企業の戦い方は、1対100を捨てて、1対1×100に徹することです。目の前にいる採用すべき人材に対してのコミュニケーションコストを最大化し、一人ひとり丁寧に口説いていくことです。採用しない人材にいくら時間を使っても意味がありません。
幸い今の学生は自分だけに時間を使ってくれる会社に魅かれます。集団の授業ではなく個別指導や自分だけのカリキュラムを作ってくれる塾に通い、「昨日のあのTV番組」が話題の中心ではなく、自分だけの「推し」がいて、各々で楽しんでいます。
スマホのホーム画面も一つとして同じものはなく、音楽も動画も買い物も広告も自分だけに最適化されたものが勝手に表示されます。こんな時代に育った若者は「みんな」へのメッセージはスルーし「あなた」へのメッセージには耳を傾けます。
1対100の対応ではもう限界です。1対1×100こそが中小企業の勝ち筋です。「効率的に上手くやる」方法では大手の独り勝ちです。泥臭く、非効率に、手間暇かけて一人ひとりのハートを掴んでいくしかありません。