第15回 企業が求める人物像と学生のアピールポイントのミスマッチ

デジタルカメラで有名なオリンパスは、英国人のマイケル・ウッドフォード氏を社長に抜擢するという大胆な人事に打って出ました。調和とコンセンサスを重んじるあまり、他者との衝突を避ける日本人の働き方を大きく変革したいと考えているそうです。「日本は調和とコンセンサス重視の経営で成長を果たしたが、それが現代では逆効果に陥っている。特に日本企業の会議は出来レースや茶番劇が多く意味がないものが多い。立場など関係なく各人が本音で自由に意見を言い合える関係性が必要である」と指摘しています。

このように経済だけでなく、日本企業内の人事もグローバル化が進んでいます。そんな現代の日本企業の課題は、語学の問題だけではなく、考える力、自分の意見を堂々と主張できる力、交渉力、対立を恐れない精神など、今までの日本企業では疎外感を味わっていたタイプの人材が必要になってくるかもしれません。今後、このような人材に疎外感を感じさせてしまう組織は、成長にブレーキがかかるかもしれません。

一方、最近の就活中の学生のアピールポイントのトップが“協調性”です。競争を強いられなかったゆとり世代らしい答えですね。現在の低すぎる就職内定率は、景気や震災が原因と言われていますが、実際は、このゆとり世代の就職戦線突入と、現在の企業が求める人物像とのミスマッチが大きな要因であると感じています。ある採用担当者によると、社員教育ではどうにもならないレベルらしく、ゆとり教育のつけが回ってきている現状にため息をついていました。

このような環境化での採用活動では“採用しない”勇気を持つことも大切だと思います。例え採用予定数に達していなくても、「少しでも迷ったら落とす」くらいの心持ちで、ぜひ妥協せず粘り強く採用活動をおこなってください。