「昨年の4月に入社した新入社員(2011卒)が、入社半年で辞めた」と、あるお客様が嘆いていました。その新入社員は、面接ではとても優秀で、他社からも数社内定を獲得していた方で、なんとか口説き落とし、他社を断ってまで入社をした方でした。ですから、その分ダメージも大きく、改めて採用の難しさを痛感されていました。
退職理由は、「キャリアアップできる職場に移りたい」とのことだそうです。私はそれを聞いたとき、「この方は転職を繰り返すだろうなぁ」と感じました。きっとこの方は、学生時代、たくさんの内定を獲得したことで、「ここで我慢しなくても他にたくさん入社できるところがある」と思い、嫌なことがあればスグに辞めて転職する思考になっている可能性があります。このような働き方は、若いうちは問題ありませんが、年齢と転職回数を重ねるうちに居場所を失ってしまいます。逆に新卒の就活で苦労した方は、「こんな私でも拾ってくれた」という意識が高く、愛社精神を持って頑張って働いてくれる方が多いように感じます。たとえば、タレントの伊集院光さんは今まで女性にモテたことが無いそうで、そんななか、「こんな僕でも好きになってくれた」今の奥さんに対する感謝の気持ちが大きく、浮気はもちろん、奥さんが悲しむことは絶対にしないそうです。
いくら能力が高くても、会社への貢献より自身のキャリアを優先する方を採用するのではなく、伊集院さんのように謙虚で会社に対して感謝の気持ちがある方を採用するほうが、入社後も頑張ってくれるのではないかと思います。
また、この新入社員の「キャリアアップできる職場に移りたい」というような方は、自分のキャリアアップにつながる仕事以外は真剣にしない可能性もあります。自分がしたくない仕事も手を抜かず一生懸命することで、会社から信頼を得て、大きな仕事を任されキャリアアップしていくものです。ですから、中途採用の面接で、「キャリアアップ」という台詞が出たときには、注意が必要です。