第74回 一事が万事の考え方は、木を見て森を見ていない可能性がある。

学生と電話をしていると90%以上の確率で先に電話を切られてしまいます。「失礼します」の「す」と同時くらいに切られてしまいます。企業様もご経験があるのではないでしょうか。しかし先に電話を切る学生のほとんどが良い学生です。ただマナーを知らないだけのようです。逆に教えればスグに実践します。もし、「目上の人の電話を先に切るようなマナーのできていない奴は駄目だ」と決めつけてしまっては、その学生の良さを知ることはできず大きな機会損失になってしまいます。確かにそれくらいのマナーは大学生なら知っておいてほしいところですが、ほとんどの学生が知らないなら、知らない学生が悪いのではなく、時代なのかもしれません。

また、会社説明会の無断欠席についても同じことが言えます。はりまっちの予約制のイベントでも、無断欠席者は結構います。その無断欠席した学生が、次の予約制イベントに、何の悪びれた様子もなく「こんにちは!」と笑顔でやって来ます。とても明るい好青年です。「前、予約してたのに、来んかったやろー」と言うと、「そうなんですよ、急に選考が入ったんすよ」と、これまたまったく悪いことをしているとは思っていない様子でした。「もし当日都合悪くなったら無断欠席じゃなくて、ちゃんと連絡してね」というと、「あ、そうなんすね、わかりました!」と元気良く返事し、次回以降はしっかり事前にキャンセルをしてくれるようになりました。

これも「約束を破るような奴は信用できない」と切り捨てていたら、この学生の良さは分からないままでした。一度の無断欠席は許してあげて、逆に説明会終了後に、「この度は、説明会にご予約いただきありがとうございました。本日の説明会にはご参加されていませんでしたが、体調など崩されていませんか?心配しています。次回は●月●日に開催しますので、良かったらご参加くださいね」というフォローのメールを一本入れてみて様子を見ることも、採用を成功させるためにこれからは必要になってくるかもしれません。

同じように、「靴が汚い」「ネクタイが歪んでいる」「スーツがシワシワ」などの理由で不採用にしてしまうのは、木を見て森を見ていない可能性があります。「靴は汚いしスーツもシワシワだけど、愛嬌があり行動力もある。身だしなみの指導をすれば活躍してくれる」というように、全体を見てジャッジしたほうが、取りこぼしの無い採用ができるのではないでしょうか。