第77回 「労働条件」を変えれば、採用力も企業力もアップする。

優秀な人材を簡単に採用する方法は、土日、祝日を休みにして、年間休日を120日以上にすることです。これで多くの人材が集まり比例して優秀な人材が採用しやすくなります。……すみません、いきなり極論を述べました。会社の休日を変更するなんて簡単にはできません。採用力とは、「企業力」×「労働条件」×「採用広報」と言われています。そして、「企業力」と「労働条件」はなかなか変えられないため、「採用広報」に力を入れて、採用力をアップさせるというのが、採用戦略としては正解だと思います。それに加え「労働条件」も改善すれば、より優秀な人材が採用しやすくなり、それに伴い企業力も向上していきます。

「そんなことくらい言われなくても分かっている。だけど、うちはサービス業だから、土日を休みにすることなんて絶対にできない」というのもごもっともな意見です。しかしたとえば、極めて接客レベルが高く、味のクオリティも最高級の飲食店があったとしましょう。そのお店に一度でも足を運んだことのある人は感激し、SNSに写真付きでアップし、食べログでも好評価をつけ、それを見た人が「私も行きたい」と思い、口コミで良い噂が広がっていきます。しかし、その店舗は土日が休みです。「行きたいのに、行けない」という心理状態が、店舗の希少性を高めます。どうしても行きたい人は、なんとか時間を作って、平日に行くことになり、平日は常に大行列ができる人気店になる。そこで働くキラキラしたスタッフを見て、土日が休みだと知っているお客さんから「ここで働きたい」と自然と応募が増えていく仕組みができあがる。机上の空論も甚だしいですが、土日出勤のため、人材が集まらず、サービスが低下し、客離れが進むなら、いっそのこと土日を休みにして、優秀な人材を集め、顧客満足度を高めるほうが会社にとっては有益なのかもしれません。

いきなり休日を変えるのはハードルが高いかもしれませんが、今より少しでも労働条件を良くすることはできないかと、常に考えておくことは人材確保のうえで極めて重要です。「育休取得率100%」「勤務地限定採用」「資格取得援助」「借上社宅」「住宅手当」など、できるところから少しでも改善を目指してください。それが、採用広報にも活かすことができ、ひいては企業力の向上にも繋がります。