第117回 小さな勝ち組企業が選んだブランド戦略

自社のストーリーを伝えるうえで、これ以上参考になる本は無いと思える超良書です。著者は、人材コンサルティング事業で急成長を遂げたワイキューブの元社長安田佳生氏。

これまでワイキューブが手掛けた8社の小さな無名企業のブランディングの事例が紹介されています。そのうち1社の事例をご紹介します。

国内の宅配ピザ市場は、ピザーラ、ドミノピザ、ピザハットが独占し、他がつけ入る隙が無いほどですが、船橋市には、大手3社とは明確な差別化を図り、市民の心を掴んで離さないピザヨッカーという小さなピザ屋があります。

同店も丸亀製麺同様に、効率化を度外視して「ここまでやるか」と思うほど、手間暇かけて1枚のピザを作っていますが、それが顧客に伝わっていませんでした。

そこで「ヨッカー7つのこだわり」という、ピザがお客様に届くまでのストーリーをピザの箱に印刷し、顧客に届けました。一度この想いが伝われば、顧客は永続的なファンとなり、競合他社は選択肢から外れていきます。

またストーリーを伝えるこの取り組みは、顧客だけでなく社員自身が同社で働くことに誇りを持てたり、イギリスの大学院でマーケティングの修士号をとった方が入社したりしたそうです。

相手がお客様でも求職者でも社員でも、心を動かすのは事実ではなく、ストーリーです。