第164回 「タレントプール」と「アルムナイ」の構築を今から。

2030年。そう遠くない未来に、労働人口が644万人不足すると言われています。2023年時点でも300名未満の企業の求人倍率は6倍を超え、1人の学生を6人で奪い合っている状態です。今後は更に人材獲得競争は熾烈を極めます。

これらに備えて数年前からベンチャー企業を中心に構築が進んでいるのが「タレントプール」と「アルムナイ」です。「タレントプール」は就職潜在層との繋がりを創ることで、「アルムナイ」は退職者の出戻り採用のことです。これらの共通点は、一度でも接点を持った方とのご縁を大切にする点です。

具体的なタレントプールの事例としては、SNSで社風やビジネススキル、業界トレンド等を発信してフォロワーやファンを創造したり、会社主催の勉強会やセミナーに参加ができるようなコミュニティを形成したりしています。

ポイントは、採用情報ではなく仕事に有益な情報や社員の人柄、風土を伝えることです。「アルムナイ」は、退職時に「復帰券」を渡し、出戻り歓迎ムードを作り、退職者を含むコミュニティを形成し、会社の飲み会や行事にお誘いする会を開いたりして、退職者との縁を途切れさせない工夫をしています。

当然ですが、退職者に対して急に態度を変えたり、嫌がらせをしたりするのは絶対にNGです。アルムナイ以前に、これら会社の仕打ちを口コミに書かれて更に採用力が下がってしまいます。他に内定辞退者へも、いつでも入社できる権利を与えたり、辞退者向けのコミュニティを形成したりする会社もあります。

労働人口不足と求人倍率の高止まりにより、人手が足りなくなってから慌てて求人を出しても効果は期待できません。時間もかかり即効性もありませんが、これらの構築を今から進めることが10年後の会社を救ってくれるはずです。