第43回 それでも社員のモチベーションは上げてあげたほうが良い。

2003年前後に「モチベーション」という言葉が流行り、今では日常会話にも出てくるくらいに浸透しました。しかし、このモチベーションという言葉は、社員にとっては便利な言葉として使われていました。成果を出せなかったときに「モチベーションが上がらなくて」と、言い訳にもならないことを言う社員がたくさん出てきてしまいました。「やる気が出なくて」とほぼ同義語であるこの言い訳でも「モチベーション」という言葉を使うことによって、なんとなく自分は悪くないという雰囲気になっていました。

そんなこともあり多くの経営者や叩き上げの営業部長などは、モチベーションという言葉が大嫌いになり、禁句にした会社もあるようです。確かに、経営者の方や叩き上げの部長クラスの方は、モチベーションが高い低いなんて関係なく「今日食べるために」頑張ってこられた方が多いと思います。モチベーションが低くても歯を食いしばって頑張るしか無かった方たちでしょう。ですから、彼らにとって「モチベーションが低いから成果が出ない」は言い訳でしかないのです。

また、「環境によってモチベーションが左右される人は二流。どんな環境であれ、自分でモチベーションをコントロールできる人間が一流」と、入社式で新入社員に話す会社もあるようです。確かにおっしゃることはよく理解できます。しかし、一方で経営層は、それでも社員のモチベーションを上げる仕組みや制度を作るべきだと思います。今の若手の多くは、いろいろなものを与えられることに慣れており、それでやっと力が発揮できる世代です。伸びている会社は若手社員のモチベーション管理がとても上手です。

頑張った社員には、握手、拍手で褒める、称える、目立たせる、ヒーローにさせる。困ったときには先輩社員が近くにいてくれるブラザーシスター制度、社員旅行、お誕生日会など、モチベーション高く働いてもらうための様々な工夫をこらしています。何をそこまでと思われるかもしれませんが、自分でモチベーションをコントロールできる社員ばかりなら、マネジメントは要りませんし、そもそも今の時代ほとんど存在しません。そんな中で会社を成長させるためには、社員のモチベーション管理は絶対に必要だと思いますし、それが経営層の一番の仕事であると思います。