今回は、ビジネスエンタテイメント小説のご紹介です。著者は作家ではなく企業経営者。しかもベンチャー企業を立ち上げ、上場まで果たしたやり手経営者です。だからこそ、とてもリアルな内容で、実体験を登場人物の名前を変えているだけではないかと思うくらいの内容です。
主人公は新卒でベンチャー企業に入社し、総務に配属された男性社員。情報が一番集まる総務の視点でベンチャー企業の内情を描いています。総務が主役のため、みなさんも「あるある!」と思えるシーンや「いるいる!」と思える登場人物が多いと思います。
私個人的には、ベンチャー企業の経営者の考え方や想いを知ることができて大変参考になりました。資金繰りで眠れない夜が続く日々、本音を表に出せない孤独感、ドライな考えと人としての情の葛藤など、経営者でないと書けない細かな心情や機微が描かれています。
また、主人公を通じて、劣悪な環境でも自分次第で成長もできるし、楽しみも見いだせるんだということも学べました。矛盾、嫉妬、不安、焦り、絶望などと戦いながら、それでも前を向いて進んでいく新入社員や社長、そこで働く社員の方に勇気をもらえる一冊です。
読後は爽快な気持ちになり、モチベーションが上がりました。内定者には刺激が強すぎるかもしれませんが、2,3年目の若手の研修本としては良いスパイスになるかもしれません。