第74回 欲しい人材を逃さない採用の教科書

採用関連の本はいくつも読みましたが、当書は机上の空論ではなく、採用計画から母集団形成、選考、内定者フォローまで、非常に細かなオペレーション業務まで踏み込んで書かれているので、とても参考になると思います。

特に、学生から取得するアンケートの読み方は興味深いものがありました。会社説明会終了後のアンケートでは、「若手社員の話を聞きたかった」という意見が多くあったようです。そこで、実際に若手社員を登場させると、そのときのアンケートには「ベテランの話が聞きたかった」「もっと具体的な話が聞きたかった」「会社の将来像が見えなかった」などといった声が多く出たようです。

人は目の前にあるものは、あって当たり前で、無いものねだりをする生き物。一つの要求が叶っても、必ず次の要求がくる。学生の意見に振り回されることなく、本質をしっかり見極めることが大切だというのが著者の意見です。その採用の本質とは、採用担当者は学生から見れば会社の代表。学生に「こんな人になりたい」「この会社に入れば●●さんみたいになれる」と思わせる魅力的な人材がなるべきで、入社歴は関係ありません。

他にも、開封率を上げるダイレクトメールの送り方、合説で自社ブースに呼び込む声のかけ方、面接に必要な備品など、細かいところまで書かれていて、持っておいて損の無い一冊です。