ある日の夜中22時頃、誰もが知る大企業の巨大本社ビルの前を通りました。人気企業ランキングで常に上位にランクインしている、大学生にとって憧れの会社です。ビルを見上げるとほとんどのフロアの電気がついています。今の若者は残業の少ない会社を好むことはどんなデータを見ても明らかですが、この人気企業の夜は長そうです。
若者はこの現実を知らないのか、知っていてそれでも人気なのか。真相は分かりませんが、事実として、お会いしたことのあるこの会社の社員さんの目はみんなキラキラしていて、仕事や会社が心から好きなんだなと感じるくらいイキイキしています。会社の悪口を言う人は一人もいません。
現在、HR界隈で注目されている言葉に「キャリア安全性」があります。ザックリ言うと、成長が実感でき、他の会社でも通用するキャリアを積めることが「キャリア安全性」のある会社です。7〜8年ほど前に「心理的安全性」が日本にも浸透し始め、組織改革に挑んだり、採用活動でPRする企業が増えてきました。
しかし皮肉なことに、心理的安全性だけが高い会社は離職される可能性が高いといった研究結果が出てきました。入社してから怒られたことが無く「良い上司ばかり」の職場で、離職を考える若者が増えているそうです。心理的安全性は高いが、裁量や負荷が少ない企業は、優秀な若者からソッポを向かれ始めています。
次年度から5日間以上で、且つ就業体験ができるものしかインターンシップと呼べなくなります。学生にとっては5日間かけてキャリア安全性のある会社かどうか、シビアに見ることができます。「うちは成長できる、裁量権が大きい、市場価値が高い」と感じてもらえるかが成果を分けます。これらを伝える最も効果的な方法がフィードバックです。
これまでのような「いいね!」だけのフィードバックではなく、プロの視座から新たな気付きを与えるフィードバックを行うことが、例年以上に重要になってきます。「キャリア安全性が高い」と認定されれば、認知度や会社規模のハンデを乗り越える大きなチャンスです。