第151回 対面でもチャットでコミュニケーション。

「〇〇って知ってる人ー?」

「……」

「じゃぁ知らない人ー?」

「……」

大学の対面授業が復活し、久しぶりに若者で賑わうキャンパス。しかし授業はまったく賑わいません。

「隣同士で意見交換してください!」

「……」

授業中、終始こんな感じです。当然「質問ある人?」の問いかけにも質問が出ることはありません。

そこで、「じゃぁチャットにしましょう。匿名なのでじゃんじゃん書き込んでくださーい!」というと、追いつけない程のスピードで質問が書き込まれます。

「なんや、めっちゃ興味あるやん!」と私は驚きと同時に嬉しくなって、これらの質問に意気揚々と答えていきました。しかし学生はそれに全く興味なさそうに下を向いています。

「いや、あなたたちが聞いたんでしょ?」と思いながら、折れそうな心を自分で励ましながら90分の授業を終えることができました。そして授業終了後のアンケートでは長文で「とっても為になりました!」「とっても楽しい授業でした!」「90分があっと言う間でした!」等、ポジティブなコメントばかりでした。もうパニックです。

教授に相談すると「いやこんなもんですよ。この子たちは大学入学時からオンラインで授業を受けていて、面と向かって人と話すことに照れているんです、教授にも隣の学生にもね。で、当てられたくないから後ろに座って教授と目も合わせない。目立つから手も挙げない。だけどしっかり聞いているんですよね。その証拠にチャットやレポートはしっかり書くでしょ?」と。

これから出会う24卒の学生は、これがスタンダードです。例年との違いに違和感を覚えると思いますが、学生は照れていて表現が苦手なだけで、しっかり伝わっています。反応が薄くても、ぜひ寛大な心で学生と接してください。