第159回 満足度を高める前に、不満要素を潰す。

仕事や職場に対する満足、不満を引き起こす要因を研究したハーズバーグ博士の二要因理論(動機付け・衛生理論)があります。1959年に発表された研究結果ですが、今でも人事評価制度の設計やモチベーション理論のベースとなっています。

「達成感」「承認」「責任感」「昇進」等が、「動機付け理論」で、これらが満たされると満足感は高まります。ただ、欠けても不満を引き起こすわけではありません。

「衛生理論」は「給与」や「休日」「福利厚生」等で、これらが不足すると不満を引き起こしますが、満たしたからといって満足感につながるわけではなく、単に不満を予防する意味しか持たないという理論です。

そこで中小企業さんは、給与や福利厚生等の衛生理論では戦えないため、達成感や仕事のヤリガイ等の動機付け理論を前面に打ち出してPRします。これは正しい戦い方ですが、限界があります。

勝負はできなくても許容できる最低限の衛生面は整えないと厳しい戦いとなります。合説のプレゼンで惹き付け、インターンシップで仕事の魅力を伝えても、最終、休日や給与で選ばれてしまうこともあります。転職理由の多くも衛生面です。

採用や定着にお悩みの場合は、まずは衛生面の最低限の整備から取り組む必要があります。ただ衛生面だけの強化であれば、他に衛生面で上回る企業があればスグに目移りするのも事実です。最低限の衛生面を整えた後に、しっかり動機付けも行う、この順番が大切です。

衛生面を疎かにして達成感や承認等の動機付けの強化だけだと「ヤリガイ搾取」と言われる始末です。まず衛生面を平均値まで引き上げましょう。